出来るようになるには、出来ない事を認める事から始まります。
僕は大学時代の卒業論文で、
「長期組織キャンプが子どもの生きる力に及ぼす影響の研究」を発表しました。
2週間のキャンプ生活で、子どもたちの生きる力がどのように変化するかのデータをとって変化の変遷やなぜ変化したのかの分析及び考察を行いました。
ここで言う「生きる力」とは以下の13指標を設定しています。
非依存・・・嫌な事は、嫌とはっきり言う。小さな失敗をおそれない。
積極性・・・自分から進んで何でもやる。色々な事に興味を持つ。
明朗性・・・小さな事でくよくよしない。いつも笑顔で過ごす。
交流・協調・・・友達や仲間を上手くまとめる事が出来る。誰とでも仲良く出来る。
視野・判断・・・自分の問題点や課題を見つける事が出来る。自分の良い所や悪い所をよく知っている。
適応行動・・・人の話をきちんと聞く事が出来る。自分で出来る事は自分でやる。
自己規制・・・身の回りの片付けや、そうじが出来る。腹が立っても抑える事が出来る。
自然への関心・・・生き物を大切にする事が出来る。自然の中の事に関心を持つ。
真面目勤勉・・・善悪の判断が出来る。自分に割り当てられた仕事はしっかりとやる。
思いやり・・・人の為に行動出来る。自分とは違う考えを受け入れる事が出来る。
身体的体制・・・長い距離を歩く事が出来る。ケガをしても多少我慢出来る。
野外生活・技能・・・ナイフの使い方やご飯を自分で炊く事が出来る。虫や動物を触る事が出来る。
自分の論文は時々見返したりしていますが、どの項目をやっぱり大事だと思います。
大人で考えても苦手な指標や全く出来ていない指標も十分あると思います。皆さんはどうでしょうか?(笑)
この指標を基に、5段階評価の質問形式にして、キャンプ前とキャンプ後にアンケート実施しました。また、キャンプ中、毎日子どもたち一人ずつにキャンプの様子や感想などのエピソードを収集し、ポイントの変容がどのような場面で起きたかの考察も行った。
この研究をする前から、ボランティアグループに所属し、何度もキャンプ引率を行っていたので、当然キャンプをすれば子どもたちの「生きる力」は向上するだろうと思っていました。ましては2週間の長期間のキャンプだったら効果は出るだろうと仮説を立ててました。
しかし、結果はまさかの逆でした・・・
キャンプを終えホクホク顔でアンケート結果を集計してたのですが、
「あれ?あれあれ?」と徐々に背中が氷ついていく感じ。ゾッとしましたね。
2週間キャンプしたら子どもたちの生きる力が弱くなるってどういう事?
キャンプしない方が良いんじゃないか?とも思い。丁寧にキャンプ中のエピソードを拾っていくと、ポイント下がった事は一概に悪ではない気がしていました。
引率者から見ると、キャンプ中の子どもたちはよく遊び、ケンカし、協力しながら生活していました。「どう見えもポイント下がっているようには見えない」というのが僕の結論だったので、そこを出発点にして見方を変えていきました。
そこから考えたのは、
「そもそも最初のポイントが高すぎるのではないか?」です。
普段の生活での自己評価を正しく出来ていないからこそ、キャンプ中の出来事をきっかけに正しく自分を認識する事が出来た。という事を言えるのではないか
論文の結果からの分析と考察は、
家庭での生活はやはり親に依存して生活しているので子供たちも自分ができていない事に気付いていない事が多い。そういう所から最初のアンケートでは「こんなもんかな?」というある意味なんとなくで答えていたものが、2週間経った時にリアルな実体験を通してアンケートに答えた結果、ポイントが下がったといえる。
という総括をしました。
出来るようになる事は、まずは出来ない自分を知り認める事。
だから、まずはやってみる。どれぐらい出来ないのか?あとどれぐらいで出来るようになるのか?それを知る事からスタートです。
だからこそ、自分のやりたい事、好きな事を伸ばしていくのは高校生ぐらいから遅くないと思っています。幼児から小学校高学年ぐらいまでは、「自分が何者であるか?」を知る為に多くの事にチャレンジし、出来ない自分を認めきちんと努力する事を学ぶべきです。
どれだけ好きな事をしていたって、好きな事を極めていく過程でいずれ苦手な事や出来ない事も出てきます。その時に頑張れる自分を知っている事は大きく自分の夢に近づくんじゃないかな?と思っています。
子どもの背中をポジティブに押していきましょう。
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